
2025/06/09
商売繁盛の神様「豊川稲荷」方丈様と対談
商売繁盛の神様「豊川稲荷」方丈様と対談
全国から初詣客が訪れる「商売繁盛の神様」豊川稲荷。お膝元で店を構えるヤマサちくわにとっても大切なところです。
ゴォーン! ゴォーン! 除夜の鐘と同時に山門が開き、大勢の初詣客が境内に。毎年、ここ豊川稲荷には多くの初詣客が訪れます。
かつては私も、徹夜の販売員として大晦日の夜と新年を豊川稲荷門前の店で迎えていました。初詣を終えて顔を出してくれるお得意様を迎える時間は、商売人冥利に尽きるの一言です。
毎年全国からのお客様とお会いできる、ヤマサちくわにとって大切な場所、豊川稲荷の山主方丈様をお訪ねしてきました。
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『雲従龍』の書は、上の人が立派だと周りの人や下の人がついてくる、という意味なんです
豊川閣妙厳寺(豊川稲荷)住職 本宮顯道
本宮方丈様をお訪ねしたのは、秋の大栄講が終わった気持ちの良い日。
方丈様は、先代の福山方丈様が大本山永平寺の貫首としてお上がりになった後を受けて、四年前に方丈に就任されました。穏やかな口調、優しい眼差し、凛とした姿勢。昭和27年のお生まれで、私と6才しか違わないと伺い、失礼ながら大変身近な存在となりました。
佐藤:方丈様の一日はどのように始まるのですか?
本宮:毎朝四時に起床し、ストレッチとラジオ体操をします。その後雲水たちと坐禅。それから本殿で祈祷を行います。1日の最初のお務めですね。
佐藤:方丈様のお経を聞いてお参りしたかったら、朝6時半ぐらいに伺えばいいんですね。
本宮:出掛けていない限りはそういうことになりますね。私は、真ん中に座って導師をするのではなく、後ろに座って太鼓を一時間程叩いています。
本宮:太鼓は重要です。張りが合って、リズムがないといけない。お経がのってくるかどうかは、太鼓にかかっているんです。
佐藤:方丈様の仕事は、お忙しいでしょうね。
本宮:あっという間に一年が過ぎてゆき、曜日がわからなくなってしまうほどです。また、出掛けることも大変多いです。
本宮:ヤマサちくわさんの鯛ちくわは美味しいですね。東京に手土産として持ってゆくと本当に喜ばれます。これからの時期は、豊橋おでんのセットが喜ばれますよ。個人的には、カレーボールが好きなんです。
佐藤:お忙しいので健康管理に気を配らないといけないですね。
本宮:境内を散歩するようにしています。以前、作務衣で外周をジョギングしていたのですが、ご近所の皆さんから声をかけられるとその都度止まってお話をするからとてもジョギングにはならなくて(笑)。
佐藤:東京のど真ん中、赤坂に別院がありますね。
本宮:赤坂の別院の場所は、大岡越前のお屋敷跡です。東京関東のみなさんにお参りに来ていただいています。
佐藤:東三河のPR事業や、ヤマサちくわの東京でのイベントに使わせていただこうと考えています。
本宮:
大栄講の歴史についてお尋ねがありましたが、はっきりした資料がありませんでした。120年ほど前に誕生したということです。豊橋をはじめ、各地に大栄講ができ、戦後最大になった時は、1万人以上の会員がいたそうです。
佐藤:ヤマサちくわでは、大栄講豊橋組の講元を長年お引き受けしてまいりました。現在の講元は6代目です。3月19日と9月19日の年2回、300人以上が集まってご祈祷をしています。精進料理を食べて、世間話をして解散。こんな時間の使い方もいいですね。
本宮:お参りに来た時に、家内安全、交通安全、商売繁盛・・・と、いっぺんに沢山のお願いをする人が多いですが、この日一日は『一つのお願いをしよう』とお参りすることが大切です。
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- 豊川閣妙厳寺(豊川稲荷)住職 本宮顯道
昭和27年生まれ。昭和56年より大本山永平寺などにて修行。
平成20年2月妙厳寺住職に。
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- 日夜旨いものを追求する7代目 佐藤元英
社の代表を務める傍ら、商工会議所などの要職も引き受け地元の活性化にも日々奔走。お付き合いによる体重増加も日課のジョギングや市民マラソン出場で難なく解消!
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- 来年の干支は龍。時期を得た言葉に身が引き締まりますね。心してさらに精進したいと思います
日夜旨いものを追求する7代目 佐藤元英
佐藤:近年のパワースポットブームで、急に若い女性を中心に「霊狐塚」を訪ねる人が増えました。豊川観光協会のポスターも効果的でしたね。まだまだ知られていない豊川稲荷の魅力を発信していきたいですね。
本宮:白い狐の話をご存じですか?子供が豊川稲荷の境内に入っているうち夜遅くなり、道が分からなくなってしまったところ、白い狐が道案内をしてくれて外に出ることができた、という言い伝えがあるそうです。
本宮:豊川稲荷にお参りすると、なぜ商売繁盛に繋がるのでしょう。それは、戦国時代、武将が妙厳寺のおもだかを懐に入れて戦ったところ、連戦連勝。「戦に勝つ」ところから、現代ビジネスマンにとっての戦は仕事、ということで商売繁盛になったそうです。
佐藤:なるほど。
佐藤:床の間の書がとても気になります。方丈様の字ですか。
本宮:はい。雲・従・龍で、『雲、龍に従う』と読みます。上の人が立派だと周りの人、下の人がついてくる、という意味なんです。
佐藤:来年の干支はちょうど龍です。時期を得た言葉です。心してさらに精進したいと思います。ありがとうございました。
ヤマサちくわ門前店
ヤマサちくわ門前店は、昭和31年3月に現在の場所(山門に向かって右側)に出来ました。
それまでは、何軒かのお店で1年ごと場所を順番に変わりながら営業していました。
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- ヤマサちくわ門前店
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- 千体以上の狐の石像が安置され、厳粛な空気漂うパワースポット「霊狐塚」。
大栄講(だいえいこう)
豊川稲荷を信心することを中心に、豊川稲荷とその門前町の発展に賛同する人で構成する会。ヤマサちくわでは、代々その会員をとりまとめる世話人“講元”の代表を引き受けており、現在は6代目がその任を務めています。春と秋の年2回行われる大栄講では、一堂に会して精進料理をいただきながら“商売の神様”のもと、仕事の交流を広げる社交の場として盛り上がります。
おもだか・稲穂・宝珠
本殿の瓦などに見られる「宝珠」、柱などに見られる「稲穂」、山門の中心や本堂でみられる「おもだか」と、鎮守・ダ枳尼眞天(だきにしんてん)を祀る豊川稲荷には、それぞれに決まった定紋(じょうもん)があり、すべてがそれぞれに災いを取り除き、福を招くありがたいものと言われています。豊川稲荷を訪れた際には、是非探してみて下さい。
おもだか(妙厳寺の定紋)
ある武将が戦に赴く際に持参し戦勝したといわれる。
稲穂(ダ枳尼眞天の定紋)
ダ枳尼眞天が担ぐ稲穂。柱ななどにみられる
宝珠(ダ枳尼眞天の定紋)
かならず願いが叶うといわれる珠。本殿の瓦などにみられる。
商売繁盛の神様として全国的に知られ、京都の伏見稲荷とともに日本三大稲荷の一つと言われる豊川稲荷。「稲荷」と称されていますが、正式の名を「円福山豊川閣妙厳寺(えんぷくざんとよかわかくみょうごんじ)」と言い、実は曹洞宗の寺院です。本尊は千手観音で、「稲荷」は鎮守として祀られているダ枳尼眞天(だきにしんてん)のこと。今川義元、織田信長、徳川家康、渡辺崋山など時の武人や文人をはじめ、広く一般信者から帰依信仰を集めた由緒ある寺院です。
妙厳寺の年間行事
初詣 | 1月〜 |
妙厳寺開山忌 | 3月29日 |
春季大祭 | 5月4日、5日 |
秋季大祭 | 11月22日、23日 ※それぞれ稚児行列も行われます。 |
仏舎利供養 | 12月6〜10日 |
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- 本殿
(掲載日:2011年11月)